しかし、今、ひそかに骨が折れたり、破れたりして不用になった古傘の布を利用して、マイバッグを作る動きが広がっている。
軽くて丈夫、防水性にも優れた傘布。
傘ならではの特徴とカラフルな柄を生かして、オリジナルバッグを作る教室も出てきている。
「自分の好きな柄を組み合わせると、世界に一つのマイバッグができますよ」
作り方は、
傘布を骨に沿って三角形にばらす。
三角形の数は傘の骨の本数にもよるが、このうち4枚を縫い合わせてバッグの本体に、残りの布で持ち手を作って縫い合わせれば出来上がり。
教室に参加した50代の主婦は「愛用していた日傘の骨が折れてしまったが、捨てるのが忍びなくて保管していた。レースの縁取りやお気に入りの花柄を生かしたバッグを作れるのがうれしい」と笑顔で話す。
傘の再利用で、ごみ、レジ袋の削減に!!
指導する同NPOの三瓶恵美子理事長が、傘布バッグを作り始めたのは30年以上も前。「壊れた傘がもったいなくて、なんとかならないかと知恵を絞って考えた」。今では、放棄されるなどした古傘を、自転車かごのカバーやエプロン、レインコートなどに作り替えている。
教室は同区民を対象に隔月で開催(参加費300円)。三瓶理事長は「傘布バッグは軽くて丈夫でしわにならず、雨の日でも安心。ごみ減量とレジ袋削減につながるので、ぜひ挑戦してみて」と呼びかける。
神奈川県の茅ケ崎市商店会連合会も3年ほど前から、レジ袋削減の一環として取り組みを始めた。68の参加店舗が来店客に不要の傘を持参してもらい、エコバッグとして再生し、販売する。これとは別に、思い出が詰まった大切な傘を、1本1000円でバッグに作り替える活動も評判だ。
同連合会マイバッグ委員会の吉村洋子委員長は「みなさん、完成品を見て『これが傘だったの?』と驚かれます。今後も、商店会のイベントなどで広めていきい」と言う。
◆蚊帳、テントも
使い古された傘を集め、いろいろな作品に生まれ変わらせるユニークな活動「CASA PROJECT」を展開しているのは、東京造形大学大学院生の井上萌子さん。蚊帳やテントのような大きな空間から、バッグやリュックサック、ペンケースといった身近なものまで古傘から作り替える。その数、約20種類。
傘布だからこそできるデザインや、柄と色の組み合わせを考えるのが楽しいという井上さん。「環境問題への関心だけでなく、捨てられたものから新しいものを作り出す楽しさを多くの人に伝えたい」とワークショップも開催する。「街中に(使えなくなった)傘がある限り、この活動をさらに展開していきたい」と意気込んでいる。
傘布を利用したバッグなどの作り方をホームページで紹介している自治体や市民団体もある。はさみとミシンがあれば2〜3時間で仕上がるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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